分け目が広がってきた、髪のボリュームが減った気がする。こうした変化に気づいたとき、「女性の薄毛は治るのか?」と不安になる方は少なくないでしょう。女性の薄毛は原因や進行度にもよりますが、対策によって進行を抑えたり目立ちにくくしたりと、改善が期待できる場合があります。
早めに症状に気づき、それぞれの原因に合った対策を選ぶことが大事です。女性の薄毛の症状、原因、年代別の特徴を整理し、医療機関での治療、新しい治療選択肢の再生医療について解説します。

全体の要点
- 女性の薄毛は治るのか?
- 30代・40代・50代以降など年代別の薄毛の原因の傾向
- ガイドラインに基づく、女性の薄毛治療の選択肢
- 女性の薄毛の新しい治療選択肢「S-DSC毛髪再生医療」
女性の薄毛は本当に治るのか?
女性の薄毛に対する治療や対策は、その原因や進行度によって大きく異なります。
治療により進行抑制や改善が期待できる
女性の薄毛は、原因や疾患によって経過が大きく異なります。出産、発熱、急激なダイエットなどをきっかけに起こる休止期脱毛症では、原因への対応や時間経過により回復が期待できることがあります。一方、FPHL(女性型脱毛症)/FAGA(女性の男性型脱毛症)※は数年かけて徐々に進行することが多く、完全に元通りにするというより、進行を抑えたり、見た目の改善を目指したりする治療が中心です。
まずは自分の薄毛がどの疾患にあたるのか、医療機関で正確に診断を受けることが重要です。※「FAGA(女性の男性型脱毛症)」は、女性の進行性の薄毛を指す言葉として普及しています。しかし、最新研究により、男性ホルモンの影響だけでは説明できない症例が多いことがわかり、国際的に「FPHL(女性型脱毛症)」という用語が広く用いられています。以下、FPHLで統一して表記します。
早めの医療機関への相談が薄毛予防・対策のカギを握る
薄毛の対策は、早く始めるほどその選択肢が広がります。変化に気づいた時点で、なるべく早く症状を見極め、対策法を探ることが大事です。次のような症状は、医療機関の受診を検討すべきサインのひとつです。
- 抜け毛の本数の増加が続く
- 分け目が以前より広がってきた
- 頭皮にかゆみや赤みを伴う
- 短期間で急激に薄毛が進んでいる
女性の薄毛の症状や変化
薄毛は突然進むものではなく、次のような髪の変化が少しずつ現れます。
- 髪が細くなり、地肌が見えやすくなる
- 髪が柔らかくなり、ハリが失われる
- 髪のうねりが生じたり、ツヤがなくなったりする
抜け毛の本数
髪にはヘアサイクルがあり、健康でも一定量は自然に抜けます。1日に自然に抜ける髪の本数は50~100本程度と言われています。髪の抜ける量が以前より明らかに増え、100本以上抜けている場合は注意が必要です。
とくに細い毛や短い抜け毛が増えてきたときは、毛髪の細径化や切れ毛が関係している可能性があります。ヘアサイクルが乱れ、成長しきる前に抜ける毛が増えたため、髪全体が薄くなっていきます。
髪質や髪の太さの変化
髪が細くなる、コシやハリが失われるといった髪の変化も薄毛の前兆です。同じ本数でも、髪が細くなると地肌が透けて見えやすくなります。髪の印象は本数だけでなく1本ごとの太さにも左右され、毛髪が細いことで、薄毛に見られることが調査から分かっています*1。抜け毛だけでなく髪が細くなる変化にも注意してみてください。
頭皮のトラブル
頭皮に赤み、かゆみ、湿疹、目立つフケなどがある場合は、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎などの頭皮疾患が関係している可能性があります。こうした症状を伴う場合は、自己判断でケアを続けず、皮膚科へ相談しましょう。
女性ホルモンと髪の毛の仕組み
女性ホルモン(エストロゲン)は毛周期や髪の状態に関与すると考えられています。特に出産後や更年期前後にはホルモン環境が大きく変化するため、抜け毛や髪のボリューム低下を感じることがあります。ただし、女性の薄毛の原因は単一ではなく、年齢や体質など複数の要因が関係するとされています。
女性の薄毛を引き起こす主な原因
女性の薄毛にはさまざまな原因があり、複数の要因が重なる場合もあります。FPHL(女性型脱毛症)、休止期脱毛症、老化による脱毛、ヘアスタイルによる頭皮への負担、疾患による脱毛など、複数の要因が関係していることがあります。
薄毛が気になったときは「年齢のせい」「ストレスのせい」と自己判断せず、抜け毛の増え方、髪の細さ、頭皮の状態、体調の変化などを総合的に見て、原因に合った対策を選ぶことが大切です。
| 脱毛の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| FPHL(女性型脱毛症) | 分け目や頭頂部を中心に、髪が細くなり、全体のボリュームが低下して見える |
| 休止期脱毛症 |
|
| 老化による脱毛 | 更年期前後から閉経後にかけて、ホルモン環境が大きく変化し、加齢に伴う変化も重なるため、毛髪密度の低下や髪が細くなることがある |
| 牽引性脱毛症 | 髪を強く引っ張る髪型が毛髪に負担をかけることがある |
| 円形脱毛症 | ヘアサイクルの成長期にある毛包組織を標的に攻撃する自己免疫性疾患 |
(1)FPHL(女性型脱毛症)
FPHLは頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンの脱毛症の総称です。従来、女性の進行性の薄毛にはFAGA(女性の男性型脱毛症)という言葉も使われてきました。ただし、女性型脱毛症では男性ホルモンの影響がはっきりしない場合も多く、現在はFPHLという表現が用いられることが増えています。いずれも頭頂部や分け目を中心に進行することが多く、抜け毛やボリューム低下が長期間続く場合は、医療機関への相談が推奨されます。
(2)休止期脱毛症
3~4カ月間、頭髪全体の5~10%の髪の成長が止まるのが通常の「休止期」です。「休止期脱毛症」は、何らかの原因で、成長期にある毛髪が通常より多く休止期へ移行し、しばらくして頭部全体の抜け毛が増える状態です。出産、発熱、手術、急激なダイエット、栄養不足などをきっかけに、数か月後から頭部全体の抜け毛が増える状態です。女性型脱毛症が数年かけて徐々に進行するのに対し、休止期脱毛症では比較的急に抜け毛が増えることがあります。甲状腺疾患や鉄欠乏などが背景にある場合もあるため、抜け毛が急に増えた場合や全身症状を伴う場合は医療機関で確認しましょう。
(3)老化による脱毛
更年期前後にはホルモン環境が大きく変化し、加齢に伴う変化も重なるため、毛髪密度の低下や髪の細りを感じることがあります。ただし、女性の薄毛の原因はホルモン変化だけでは説明できず、年齢や体質など複数の要因が関係すると考えられています。
資生堂の研究*2では、日本人女性は40代以降になると毛髪密度(本数)が減少し、細い髪の割合が増え、薄毛が気になる方が増えることが報告されています。
また、髪の印象は本数だけでなく、1本ごとの太さにも左右されます。女性の薄毛では「抜け毛が増えたか」だけでなく、「髪が細くなったか」「ハリやコシが低下したか」にも注目することが大切です。
(4)牽引性脱毛症
「牽引性脱毛症」は、ヘアスタイルなどで、髪が引っ張られ、頭皮や毛根に物理的な負荷がかかり、髪が抜ける症状をいいます。ポニーテールやきついまとめ髪などにより、同じ部位の毛髪が長期間強く引っ張られると、毛包に負担がかかり「牽引性脱毛症」につながる場合があります。
(5)円形脱毛症
円形脱毛症は、ヘアサイクルの成長期にある毛包組織を標的に攻撃する自己免疫性疾患です。疲労やウイルス感染症、出産、精神的・身体的なストレスなどが引き金となるといわれますが、明らかな原因がわからない場合もあります。乳幼児期から高齢期まで幅広い年齢層に発症し、円形、不規則な形状、帯状、頭部全体の脱毛などさまざまなパターンの症状があります。円形脱毛症は円形・類円形の脱毛斑として現れることが多い一方、急速にびまん性の抜け毛として現れるタイプもあります。*3
女性の薄毛の年代別の特徴
女性の薄毛は、年代によって原因や特徴に一定の傾向があります。実際には複数の原因が重なっていることや個人差も大きく、下記はあくまで一般的な目安です。症状が続く場合や急に症状が進行する場合は、医療機関に相談しましょう。
>| 年代 | 薄毛の原因の一般的な傾向 | 特徴 | 対策・治療の考え方 |
|---|---|---|---|
| 20代後半〜30代 |
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| 40代 |
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| 50〜60代以降 |
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20代後半から30代にかけては、強いストレスや栄養不足、急激なダイエット、産後のホルモン変化などをきっかけに、一時的に抜け毛が増えることもあります。また、髪を強く引っ張るヘアスタイルを長く続けている場合は、牽引性脱毛症にも注意が必要です。
40代は、加齢の影響や、女性ホルモンの変化、FPHLの顕在化などにより、髪が細くなり、分け目や頭頂部のボリューム低下が気になる方もいます。一時的な抜け毛であれば、生活習慣や栄養状態の改善、ヘアスタイルの見直しで落ち着くこともあります。ただし、抜け毛が続く場合や、分け目・頭頂部の薄毛が目立つ場合は、医療機関に相談しましょう。
50代以降は、更年期から閉経後にかけて女性ホルモンの分泌量が大きく変化し、髪全体のボリューム低下が進みやすくなります。頭皮環境や全身の健康状態も影響することがあるため、医療機関で原因を確認し、状態に応じた治療やケアを検討することが大切です。
甲状腺疾患や鉄欠乏、微量元素不足などは、休止期脱毛症の背景として問題になることがあります。一方、FPHLそのものの主因とは考えにくいため、抜け毛の出方や全身症状を含めて鑑別することが重要です。
年齢のせいと決めつけず、気になる変化が続く場合は医療機関で原因を確かめることが大切です。

女性の「びまん性脱毛」について
「びまん性脱毛」は特定の病名ではなく、はっきりした脱毛斑をつくらず、比較的広い範囲が薄く見える状態を指す言葉です。
びまん性脱毛には、FPHL(女性型脱毛症)、休止期脱毛症、老化による脱毛、疾患による脱毛など、さまざまな原因があります。同じように、びまん性に薄く見える場合でも、原因によって対策は異なります。長く続く抜け毛や急激に薄毛が進行した場合は、医療機関に相談することが勧められます。
女性が受けられる薄毛治療の主な選択肢
医療機関では、頭皮や髪の状態、さまざまな疾患などを考慮して、治療が選択されます。ここでは日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」を参考に整理していきます。各治療の詳しい内容はこちらの「女性の薄毛治療は皮膚科で相談できる?診療の流れ・治療法・保険適用について解説」(女性 薄毛治療 皮膚科の記事へ内部リンク)の記事で解説しています。
| 治療法 | 女性型脱毛症(FPHL)での位置づけ |
|---|---|
| ミノキシジル外用 | 推奨度A:行うよう強く勧める |
| LED・低出力レーザー | 推奨度B:行うよう勧める |
| アデノシン外用 | 推奨度C1:行ってもよい |
| 成長因子導入・細胞移植療法 | 推奨度C2:行わないほうがよい (2017年版ガイドラインでは慎重な位置づけ) |
| フィナステリド・デュタステリド内服 | 推奨度D:行うべきではない |
| ミノキシジル内服 | 推奨度D:行うべきではない |
| S-DSC毛髪再生医療 | 2017年版ガイドライン策定後に実用化されたため、同ガイドラインには記載なし |
※2017年版ガイドラインの「成長因子導入および細胞移植療法」は、当時得られていたエビデンスに基づく評価です。S-DSC毛髪再生医療は、その後に臨床研究を経て実用化された治療であるため、同ガイドラインには個別の治療として記載されていません。
※授乳中または妊娠の可能性がある場合は、ミノキシジルを含む発毛剤やその他の治療薬を自己判断で使用せず、製品の添付文書を確認したうえで、医師または薬剤師へ相談してください。

ガイドライン推奨の女性の薄毛の治療選択肢は限られる
女性の薄毛治療で広く用いられるのが、ミノキシジルの外用薬です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも女性型脱毛症に推奨される治療として位置づけられ、一定の効果が期待される治療です。ただし、一般用医薬品であるため処方箋は不要であり、医療機関を受診した場合でも、市販薬として薬局での購入を勧められるケースが少なくありません。この他、LED・低出力レーザーは推奨度B、アデノシン外用は推奨度C1とされています。
一方で、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬は、女性では有効性が確立しておらず、妊娠時の胎児への影響も懸念されるため、女性には行うべきではない治療*2とされています。こうした男性向けの治療を、そのまま女性に用いることはできません。
ガイドラインの推奨はないが、医師の判断で提供される治療
ミノキシジルの内服など、医師の判断で提供される治療がありますが、慎重な扱いが必要とされる治療です。また、ミノキシジルの内服は国内では未承認であり、先述のガイドラインでは男女ともに「行うべきではない」とされています。自己判断で使用せず、効果と副作用について医師から説明を受けることが重要です。
女性の薄毛治療の新たな選択肢「S-DSC毛髪再生医療」
従来の治療に加えて、再生医療という新しい選択肢が登場しています。2024年7月から実用化しているのが「S-DSC毛髪再生医療」です。
S-DSC毛髪再生医療とは
S-DSC毛髪再生医療は、後頭部から採取した自分自身のDSC細胞(毛球部毛根鞘細胞)を培養し細胞製剤として、気になる薄毛部位の頭皮に注入することで毛髪の成長を促す毛髪再生医療です。
DSC細胞は、毛包を構成する細胞の一つで、毛を太く成長させるのに大切な毛乳頭細胞の前駆細胞と考えられています。自分の細胞を用いるため拒絶反応などのリスクが低いとされ、女性も受けられる治療である点が特徴です。
研究の歩みと臨床研究データ
S-DSC毛髪再生医療は、最先端の毛髪科学研究を行う大学病院と資生堂が、10年以上の年月をかけて開発した治療です。2013年から細胞培養法の開発や安全性試験などの基礎研究、2016年から探索的臨床研究、2020年から検証的臨床研究と段階を踏み、2024年7月から自由診療として実用化されています。
臨床研究では効果が数値で報告されています。
| 対象 | 改善がみられた割合 | 調べた人数 |
|---|---|---|
| 男性・女性を含む対象者(15カ月時点)*4 | 約37% | 35人 |
| 女性の対象者*5 | 約39% | 18人 |
| 女性かつ42.5歳以上で進行が初期段階の場合*5 | 約70% | 5人 |
全体では約3人に1人に改善がみられ、女性に限るとその割合はやや高くなる傾向が報告されています。さらに女性で42.5歳以上かつ進行が初期段階に絞ると、5人という小さな人数の解析ながら、より高い割合で改善がみられたという結果が得られました。※
※評価指標、時点、対象者数が限られる解析を含みます。特にサブグループ解析は人数が少ないため、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。効果には個人差があり、適応は医師が診察により判断します。

「S-DSC毛髪再生医療」が受けられる医療機関
「S-DSC毛髪再生医療」は、現在、複数の大学病院やクリニックで提供されています。
S-DSC毛髪再生医療の治療が受けられる医療機関はこちらからご確認ください
受診を希望する場合の流れは施設によって異なり、大学病院では近隣の医療機関からの紹介状が必要になる場合があります。各医療機関の公式ホームページにて、最新情報を確認してください。また、治療が受けられるかどうかは、医師による診察と診断の結果に委ねられます。治療を希望する方は医療機関にご相談ください。
よくある質問
Q. 女性の薄毛は自然に治ることがありますか?
A. 出産後の休止期脱毛症などでは、原因が落ち着くことで自然に回復するケースもあります。一方、FPHLは徐々に進行するため、自然に元の状態に戻ることは期待しにくく、進行抑制や見た目の改善を希望する場合は、医療機関への相談をお勧めします。
Q. 女性の薄毛はストレスが原因になりますか?
A. 強い精神的・身体的ストレスが、休止期脱毛症のきっかけになることがあります。ただし、抜け毛には出産、発熱、急激なダイエット、甲状腺疾患、鉄欠乏などさまざまな原因があるため、ストレスだけが原因とは限りません。
Q. 40代・50代でも薄毛は改善できますか?
A. 年齢を重ねてからでも、原因に合った対策で改善が期待できる場合があります。「S-DSC毛髪再生医療」の臨床研究では、女性で42.5歳以上かつ進行が初期段階の方で、より高い割合で改善がみられたと報告*5されています。
Q. 女性の薄毛は何科を受診すればいいですか?
A. 毛が細くなる、抜け毛が増える、分け目が広がる、地肌が目立つなど、皮膚や毛髪のトラブルが中心の場合には、皮膚科が相談先の候補のひとつです。月経不順や多毛などの症状や、急な体調変化を伴う場合は婦人科や内科も受診先の候補となります。
Q. 薄毛治療は保険適用されますか?
A. 保険適用の有無は原因や診断名によって異なります。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など原因疾患の診療は保険適用となる場合がありますが、FPHLの外用薬治療や「S-DSC毛髪再生医療」は原則として保険適用外です。費用は医療機関や治療内容で異なるため、事前に医療機関に確認してください。
まとめ
女性の薄毛は、原因や進行度によっては改善が期待できる場合があります。原因はホルモンの変化や生活習慣、加齢などさまざまです。
治療にはミノキシジルの外用などの選択肢がありますが、女性の薄毛治療の選択肢は限られています。新しい治療選択肢として、2024年7月に実用化された「S-DSC毛髪再生医療」があります。薄毛が気になり始めた方は、早めに医療機関に相談することをお勧めします。







