S-DSC毛髪再生医療
についてAbout S-DSC Hair Regenerative Medicine

S-DSC毛髪再生医療がどういった治療なのか、また、この治療で期待できる効果についてご説明します。

【監修医師】東京医科大学 名誉教授 坪井 良治 先生

【監修医師】
坪井 良治 先生(東京医科大学 名誉教授)

監修医師紹介ページは
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S-DSC毛髪再生医療の特徴

薄毛治療は今までさまざまな方法が試されてきましたが、効果が限定的だったり、薬剤の使用を毎日続ける必要があったり、さらに性別による制限もありました。
S-DSC毛髪再生医療は、こうした課題をクリアし薄毛の悩みを解決する新しいアプローチとして、東京医科大学病院、杏林大学医学部付属病院、東邦大学医療センター大橋病院、株式会社資生堂が10年以上にわたって共同で研究を重ねた毛髪再生医療です[1][2]
この治療の3つの大きな特徴をご紹介します。

  • 1. 自分の細胞を用いるので安全

    治療に用いるDSC細胞(毛球部毛根鞘細胞)はご自身の細胞です。拒絶反応などのリスクは極めて低く、安全性が高い治療法です。

  • 2. 女性にも適用可能

    一部の薄毛治療は、女性は受けることができませんが、本治療は性別関係なく、どなたでも受けられます。これにより、女性の薄毛治療の選択肢が広がることが期待されます。

  • 3. 毎日の治療が不要

    これまでの薄毛治療は長期にわたる通院や、毎日の服用/外用を求められるものが大半でしたが、この治療は数回の通院で終了します。従来の治療に比べ、負担が大幅に軽減されることが期待されます。

ColumnS-DSC毛髪再生医療は
国の法令に則った再生医療

本治療は再生医療等安全性確保法に基づく「第2種再生医療」に該当します。再生医療専門の委員会での審査を経て、厚生労働省への届け出を行なった医療機関にのみ許される治療です。
再生医療等提供計画の名称は、「培養自家毛球部毛根鞘細胞を用いた男性型および女性型脱毛症治療」です。

治療を受けられる医療機関を見る

S-DSC毛髪再生医療で
期待できる2つの効果

本治療では、次の2つの効果が期待できます。

効果1:
髪を太くしてボリュームアップ

この治療では、DSC細胞を移植することで、DP(毛乳頭)細胞の活動を活発化させます。これにより、毛母細胞の分裂が促進され、結果として髪が太く長く成長します。細かった髪が太くなることで、頭髪のボリュームアップを実感できます。この効果は、特に女性や40代以上の初期段階の薄毛の方に顕著で、臨床研究では70%の方に見た目の改善が認められています[2]

効果2:頭皮環境を整える

DSC細胞には頭皮の炎症を抑える働きもあると考えられます。このため、頭皮環境が整い、痒みやべたつきなどの頭皮トラブルの改善が期待できます。より健康な頭皮環境が髪の成長を支え、薄毛の改善を後押しします。

Column「数」と「太さ」は
どっちが重要?

髪が太くなるだけでも、薄毛の改善効果は十分に実感いただけます。
「毛髪が細い症例」の写真をご覧ください。1㎠あたりの毛髪本数が同程度でも、毛髪が細いと薄毛が気になります。一方、本数が変わらなくても毛髪自体が太ければ、薄毛症状は緩和されます[2]
このことから、薄毛治療の効果は、毛髪の本数よりも太さに影響を受けると考えられます。

S-DSC毛髪再生医療って
どんな治療?

この治療がどのように効果を発揮するのか、1回の治療でどれくらいの範囲に使えるのか。こうした点についてご説明します。

DSC細胞について

DSC(Dermal Sheath Cup)細胞は、毛乳頭細胞のすぐ下に存在する「毛球部毛根鞘細胞」と呼ばれる細胞です。
毛髪は、毛包で毛母細胞が増殖し、内部にケラチンを溜め込みながら作られていくものです。
このケラチンの産生を促して毛を太く成長させるには、DP(毛乳頭)細胞や、その前駆細胞(将来DP細胞になる細胞)であるDSC細胞が必要になります。
DSC細胞は、いわば毛髪を太く成長させるために欠かせない、キーとなる細胞です。

S-DSC毛髪再生医療とは

S-DSC毛髪再生医療は、培養したご自身のDSC細胞を薄毛部位に補うことで、毛髪の成長を促す治療です。
効果としては薄毛症状と頭皮環境の改善が期待できます。
治療に際して、まずは後頭部など、脱毛していない部位から直径5mm程度の健康な頭皮組織を採取します。この中からDSC細胞だけを単離し、約6週間かけて培養や品質検査を経てS-DSCを製造します(製造できるS-DSCは全部でバイアル7本分です)。患者様には、製造が完了したら再度来院いただき、培養したDSC細胞を専用の注射器で注入していきます。
頭皮組織採取やDSC細胞の注入時に多少痛みが伴いますが、麻酔等の処置により極力痛みを軽減して施術します。

S-DSC毛髪再生医療で
毛髪が太くなるメカニズム

毛髪を太く成長させるには、DP(毛乳頭)細胞が欠かせません。DP細胞は発毛の指令を毛母細胞に出し、これを受けた毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで毛が伸びていきます。
DSC細胞は、将来DP細胞になる予定の細胞(前駆細胞)です。このDSC細胞を補うことでDP細胞が増え、毛の成長が活発化すると考えられます。

投与量と治療範囲の目安

治療できる面積は、S-DSCの投与量に応じて変わってきます。
全7バイアルのうち、1回の治療で、最大3バイアルまで投与できます(最大105㎠の治療が可能)
投与と投与の間隔は医師とご相談ください。
なお、培養した細胞の使用期限は1年です。

ColumnなぜDSC細胞か?

DP(毛乳頭)細胞の働きかけが毛母細胞の活性化を促すのであれば、DP細胞を直接投与しても良いのでは?そう思われる方もいらっしゃるのはないでしょうか。しかし、これには理由があります。実験では、DP細胞を移植した時に比べ、DSC細胞を移植した時の方が、より顕著な発毛が確認されたのです[3]
こうした結果を受け、DP細胞ではなく、その前駆細胞であるDSC細胞をターゲットにした治療が選ばれました。

出典:McElwee KJ. et al. J Invest Dermatol 121: 1267-75, 2003.

初回診察から
治療実施までの流れ

医療機関にお越しいただいてから治療を受けるまでの一般的な流れについてご紹介します。
詳しくは各医療機関にお問い合わせください。

  1. 初回診察:手続きと各種検査

    診察と注意事項の説明、各種同意書の記載、血液検査を実施します。

  2. 来院2回目:頭皮組織の採取

    培養に用いるため、後頭部より直径5mm程度の頭皮組織を採取します。

    • ・局所麻酔を使用します。
    • ・施術後2〜3針程度縫合します。
    • ・洗髪は翌日から可能です。
  3. 細胞培養

    採取した組織からDSC細胞を取り出し、細胞加工培養施設で培養します(所要期間は約6週間)。

  4. 来院3回目:S-DSC注入

    培養したDSC細胞を、薄毛が気になる頭皮に注入していきます。

    • ・注入回数/本数は医師と相談の上決定します。
    • ・洗髪は翌日から可能です。
  5. 来院4回目以降:S-DSC注入

    医師と相談のうえ、注入間隔や注入面積を決めていきます。

Column私は受けられる?
S-DSC毛髪再生医療の適応

S-DSC毛髪再生医療は、次の条件を全て満たす患者様が適応となります。

  • 男性型または女性型脱毛症と診断された成年者
  • 他の治療では効果が不十分と考えられた、あるいは副作用等により他の治療が継続できず、本治療で効果が期待できる方
  • 本治療の提供に関して、自身の意思に基づき、文書にて同意いただけた方

上記を全て満たしていても、次に該当する方には治療を受けていただくことができません。

  • 本治療の開始前に実施するウイルス学的検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス)で感染が確認された方
  • 局所麻酔で過敏症の既往歴がある方
  • 妊娠中、または授乳中の女性
  • 本治療を行う医師が、対象として不適当と判断した方

事前にしっかりとチェックし、治療の対象となるかを確認させていただきます。何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

S-DSC治療の臨床研究成績

S-DSC治療は、特に女性、40代以上の方、そして薄毛がまだそれほど進んでいない方に優れた効果を発揮しました[2]
壮年期の薄毛は、何もしなければ進行してしまうものですから、「不変」=「進行が抑えられた」とも考えられるというのも大きなポイントです。
なお、24ヵ月の観察期間中に認められた副作用はいずれも軽微なもので、重篤な副作用は確認されませんでした。

副作用
発症部位 症 状 発生数
注入部 疼痛(軽度) 1
毛嚢炎(軽度) 1
全身性 0
  • 24ヶ月間の観察期間中、軽度な副作用のみで、重篤な副作用は観察されなかった。
  • 注入部位以外の副作用は認められなかった。

患者様の効果実感

こちらは臨床研究に参加された患者様の声です。

どの程度の効果が
感じられましたか?

全体的に見て、女性の方が効果の実感が高かったようです。

具体的にどのような効果を
実感しましたか?

髪のボリュームや太さの他に、頭皮のベタつきの改善を実感される方が目立ちました。

よくある質問

  • 治療は痛いですか?

    多少痛みは伴います。
    ただし、極力痛みのない方法を取らせていただきます。頭皮の組織を採取する際は局所麻酔を使用します。また、細胞の注入時は冷却等の痛み軽減策をとるとともに、用いる注射針 は専用の細いタイプを使用します。

  • 他の脱毛症治療薬と
    併用することはできますか?

    可能です。
    フィナステリドやミノキシジル等を使用されている方は、医師と相談のうえ併用いただくことは可能です。併用することで、より優れた効果が期待できます。この他に服用しているお薬がある場合は、事前に医師かスタッフまでご相談ください。

  • この治療が受けられない疾患や
    既往歴はありますか?

    以下に当てはまる方は受けていただくことができません。

    • 本治療の開始前に実施するウイルス学的検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス)で感染が確認された方
    • 局所麻酔で過敏症の既往歴がある方
    • 妊娠中、または授乳中の女性
    • 本治療を行う医師が、対象として不適当と判断した方
  • 費用は
    どのぐらいかかりますか?

    医療機関によって異なります。
    本治療は自由診療でのご提供となり、費用については各医療機関にお問い合わせください。

    S-DSC毛髪再生医療が受けられる施設一覧

引用文献

  • [1] Tsuboi R, et al: J Am Acad Dermatol 83(1): 109-116, 2020
  • [2] Harada K, et al: J Dermatol 50(12): 1539-1549, 2023
  • [2] Ishino A, et al.: Br J Dermatol 171: 1052, 2014
  • [3] McElwee KJ, et al.: J Invest Dermatol 121(6): 1267, 2003
関連論文